神界のクーデター

神界にはかつてクーデターがあった。それ以来、天上天下に禍が満ち、暗黒の世の様相を呈するようになった。
私の知り合う人たちに、多くそのときの記憶を残す者が転生してきていて、その話のそれぞれが今繋がってきている。そして、今やこのマトリックス世界において神界奪還の計画が進められている。
なぜ天下がこれほど荒れすさんでいるのか。それは天上も然りだからである。為政する神々に邪な性質があらば、配下の神々から天下臣民に至るまで、邪と不正が満ちはびこるという道理である。
良識ある人々は悲しみ嘆きとともにこの世を去らねばならぬ現実がある。あの世に極楽浄土を求める人の如何に多いことか。その流れは尽きることがない。そんな馬鹿な現実がどこにあろう。それではいかんのである。この世を糾し、この世において楽土を現ぜしめねばならない。そのためには、天界があるべき姿に戻らねばならない。邪神を根絶するか、少なくとも邪神から正神へと大政奉還させねばならないのである。
古事記はそのときの有様をとどめるも、邪神の意図で改竄されており、神話による世界コントロールの魁的力となっている。
天上界の幡屋を破壊する暴虐事件は、古事記には荒くれ神のスサノオによるものと書かれるが、実はスサノオはクーデター後の配役の変わった神々の支配に異議を唱えたがゆえに、天界から追放されたのである。
そもそもスサノオは、元津天津神の神界王宮に縁戚であるを理由に交渉を申し入れるべく軍を率いてやってきて、クーデター直後の王宮を目の当たりにした。彼は、表向き統率者たる天王が未だ居るように装って、何食わぬ顔で居並ぶ側近や顔を見せようとせぬアマテラスを訝しく思い、直に面談を申し入れるも適わず奇妙に思い、手の者に調べさせたところ、すでに天王は惨殺され呪詛を施され、魂の復活すらも適わぬ状況に置かれていることを知ったのである。
天王は象徴的な結界の場としての北海道芦別岳の火山の下に魂をばらばらにされて埋められ、お妃の豊雲野神は南海の鬼海ケ島の海底深くに同じ呪詛を施されて埋められている。二度と復活できぬようにとの呪詛であった。
私は、クーデター当時に宮廷に居た天王側近の神の一人であったらしい。会議の最中に突然見知った神の軍勢が押し入ってきてテロが行われた。そこで天王はじめ多数の神々が殺された。残存した我々は、クーデター勢力の数には適わず、手分けして必要なものを持ち出し、逃げ延びることにした。
私は妃以外に神の忌幡屋にいた純朴な機織女と恋をしていた。私は当時の男の神々が習俗としていたように、自分が扇の要となったときの三方向に愛人を置くようにしていた。私は北東の方向に彼女。妃は北面。また、北西には愛する猫を置いた。
機織女の彼女は生き残っており、テロの現場で困惑していた。当面すべきこととして、私は彼女に密書を持たせて早々に里帰りさせた。いつの日か会おう。そのときは、これを持って来なさいと。
妃も無事で、すでに必要なものを持ち出して逃げていた。無事ならば、いつかは会える。
その後の調べで、クーデター側の神々を操っていた者の素性が判明した。
天王はご存知だったろうか。配下のクーデターを起こした神々に寄生する恐ろしい非生物のいたことを。彼らは魂を持たないために、嫉妬によってまず神々の世界を襲ったのである。初め、不正を陰で働くことを常態としていることが発覚し、裁きの場で未だ裁かれずに蟄居していた神々に、この非生物群は支援するからとクーデターをもちかけたのである。
不正に対する天王の糾弾は激しかったから、ずいぶんこの者たちに恨まれてもいただろう。しかし、その統率力あらばこそ、天上天下は秩序と幸福が支配的であった。
神々という存在。それは宇宙を運営する人為的存在であり、宇宙のできあがりつつある最中に外宇宙からやってきた神もいて、高度に発達した科学を持つ者であった。みなそれぞれに、幾重もの次元と性質を異とする時空(パラレルワールド)を監督せねばならないとの役割意識があった。
もちろん当時から、神々による地上界開拓計画のために人類がいた。といっても、地上界にその時空に即した肉体という作業服を着て臨む者たちのことで、彼らも魂を持ち、本質的には神と等しいわけである。彼らも初めは神であることを個々が知りつつ作業に赴いていたから、誰も不足を催す者はいなかった。
しかし、現場作業員として監督指揮を神々に仰いでいた最中にクーデターが起き、突然の連絡中断などの事故が頻発したため、彼らは天上に還るすべをなくし、やがて自ら神であることを忘れ、転生を知らぬ間に余儀なくされていったのである。それをいいことに非生物と邪神は、自分たちのためにのみ人類を使役することを思い付いた。
非生物は、一挙に天上天下を圧えることに成功した。それ以来、この非生物の意向を受けて、天上天下は「狭蝿なす満つる」状態となり果ててしまったのである。かくして岩戸は未だ開いていない。
我々天王の徳政を偲ぶ有志たちは、天界のはるか彼方、蓬莱島にて「夜明けの旅団」を結成している。そこには宇宙創造を行った梵天や弁天を頂として、幾多の強力な神々が集い、天王復活と黄金の楽土復興計画を支持し推進している。
彼らの多くは、クーデター側の意図で引退させられた神話を持っていたりするから分かりやすい。
神界クーデターの経緯と成行は「悠遊夢想」作品集の「新神話」1章から10章の物語として掲載中。
世界支配を達成した邪神と非生物がとった体制は、神々と人々のすべてを催眠下に置いて、用意されたシナリオどおりに誘導するものであった。
夜明けは、催眠の囲いを解くことから始まる。

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古事記が預言していた現代

ここに記すことは荒唐無稽な感があるも、非常に重要なことである。
私のような無名浅学の徒でなく、明治から昭和初期にかけての国文学者が意趣を汲み取り訳していれば、これが皇室の重要文献であるだけに、どれほど歴史的影響を発揮していたか知れないことをお断りしておく。
古事記は平易な暗号化文献であり、多くは神名に事の仔細が盛り込まれている。
古事記上つ巻・神々の生成の段は、現代の物質文明隆盛に至る経緯が簡潔に描かれているのが特徴である。
後段の「黄泉の国」にいたる過程を示すことにより、古代の賢者が後世の人々に何を語りたかったかが明らかになるはずである。

神々の生成


   [分野]     神 名       字義分解       解 釈     
  
  イザナギ、イザナミの二神は、国生み後に次の神々をお産みになった
                                        
 [建設] 大事忍男        大事推し      大土木事業の推進
      石土毘古、石巣比賣             石土造建造物、住居
      大戸日別        戸窓で日を制御   遮光、採光設備
      天の吹男        天から吹き込む   換気設備、天窓
      大屋毘古        大きな館      大規模な建物
      風木津別忍男      風持ち分け     通風、送風の設備
 [海洋] 大綿津見        大渡の海      海洋の大航海
 [港]  速秋津日子、比賣    物資の速飽き    貿易港、流通港
 [河海]*沫凪、沫波       勢いよい水の制御  運河、水路の水量調整
     *頬凪、頬波       滑らかな水の制御  ダム貯水池の水量調整
     *天の/国の水分     水を分配するもの  上水道、下水道、水路
     *天の/国のクヒザモチ  水を汲むもの    上水道の末端設備
 [風]  シナツヒコ       風にしなる     木の樹齢の譬えにより
 [木]  ククノチ        木の股を潜る    時の経過の長さを示す
 [山]  大山津見        大きな山並み    山岳地帯 
 [野]  茅野比賣(野椎)    茅茂る野原     一面の野原
 [山野]*天の/国の狭土     区画        国土の細分、領有
     *天の/国の狭霧     線引        縄張り(の主張)
     *天の/国の闇戸     倉の戸       世相の暗転 
     *大戸惑子、大戸惑女   大きな戸と窓    大混迷の世相(時代)
      鳥の石楠船(天の鳥船) 空飛ぶ堅牢な船   航空機、戦闘機
      大宜都比賣       大規模な生産    大工業生産
      火の夜藝速男      燃焼が速いもの   石油の利用
      (火のカガビコ)    火が輝く有様      〃  
      (火の迦具土)     火により輝く土   火薬   
  イザナミの神は、ミホトを焼かれて病気になり、寝込んでしまわれた
 [吐物] 金山毘古、毘賣     金の山       金属工業の隆盛
 [糞]  ハニヤス毘古、毘賣   土でできたもの   非金属工業の隆盛
 [尿]  ミツハノメ       満つ・葉・飲め   多種大量製品の需要
      和久産巣日       湧く・結び     生産需要結合の経済体制
     *豊宇気毘賣       豊富をさばく受皿  流通機構、市場 
  イザナミの神は、火の神を産んだことにより、遂にお亡くなりになった
 []はその神にちなむ場所、*は直前の二神により生まれた神
 ()は直前の神のまたの名。

それは一つの文明の風俗描写から始まった。大事業の推進とは、大土木工事のこと。石でできた家、
館、神殿などが造られ、採光、送風など、建築物の主要な構成要素が挙げられている。
次に、「大綿津見」(大渡つ海)で大航海を暗示し、港を示す「速飽き津」で物資の速やかな充足を図る貿易港を暗示している。
さらに水との関連から、運河や水路の水量の調節の様子、水の分配や採水設備について語っている。
その次は、風、樹木、山野の神名で長い時の経過と雄大さを示し、のどかさを感じさせる情景描写である。
だが、その次から二通りの意味を帯びてくる。 縁語を使い、わざと両面から話を進めているのだ。
それまでの流れからいうと、土木関連用語を並べ、倉庫の扉や大きな窓からの採光について語っているようにみえる。ところが、もう一方では、区画線引による領土や縄張り争いから、利己的な心根が招く世情の暗転や大きな混迷について語っているのである。
すると、その次には石や楠のように堅牢であるが鳥のように速やかに飛ぶ船、飛行機が登場してくる。
これは歴史の必然なのだろうか。
 
大宜都比賣は穀物生産の神であるが、ここでは工業生産に関係した表現となる。
大規模な生産が始まり、急燃焼するもの(石油など)の登場によって、生産神イザナミの病態、さらに死へと繋がっていくのであるが、その前に、イザナミのミホトによらぬ嘔吐物から金属工業が、糞から非金属土類の(セラミックなどの)工業が、尿から満ち溢れた種々の物を飲み取るだけの需要、湧き出る生産物をそれに結びつける経済体制、その下に豊かな受皿としての市場流通体制が生まれたという。
この部分はまさに、現在の我々の世界の有様を、先取りして語っているように思われてならない。
一応、イザナギ、イザナミの二神の協力で創られた神々という扱いになっているが、あまり良い展開ではなかったことを、汚物からの神生みで表現しているわけだ。
つまり、根底には利己主義、利便主義の影が濃厚に横たわっており、そうである限り、その先には着実な歩みで黄泉の国が到来すると、古事記は語っているのである。
次は黄泉の国の段だ。
黄泉の国
現代文明の利器を想起させる神名で埋め尽くされるこの段。
物語の進行と共に、平易な大和言葉により誰にでもイメージできるようになっている。
このような事象が出現するようになったら気をつけろとさえ述べているのである。



黄泉の国(前半)







 かれここに、イザナギの命ののりたまはく、「愛しき我が汝妹の命を、子の一木にかへつるかも」とのりたまひて、御枕辺にはらばひ御足辺にはらばひて泣きたまふ時に、御涙に成りませる神は、香山の畝尾の木のもとにます、名は泣澤女の神。


 かれその神避りたまひしイザナミの神は、出雲の國と伯伎の國との堺なる比婆の山に葬めまつりき。


 ここにイザナギの命、御佩の十拳の剣を抜きて、その子カグツチの神の頸を斬りたまひき。 
【訳】: 今まで積極的に生産に携われなかった精神文明の側では、達成すべき両文化の均衡のとれた発展が、急燃焼関連物の登場で一気に損なわれたために、非常な後悔が生まれた。


 とりわけ悲惨なのは、戦争と環境破壊の間で泣く被災者であった。


 魂の脱け殻となった物質と利益主導型文明は、現実世界と黄泉の世界の境界地(死線)に置かれた。


 このような破滅の原因は、剣のごとき英知に照らすと、燃焼関連の事物が登場したことによると理解できた。


 この時生まれた教訓は、かの破滅の顛末を次のように語り、歴史を引き継ぐ者達に、このような兆候が現れたなら、再び組するなかれと告げる。


  黄泉に導いた兵器類
   カグツチ         輝く土         石油、爆薬 
 [カグツチ神の血から生まれた神々]
   石拆(イハサク)     岩が裂ける       爆裂、炸裂
   根拆(ネサク)      根元から裂ける     爆裂の激しい様
   石筒の男         堅牢な筒の力      大砲 
   ミカハヤビ        閃光と素早い火     爆裂と焼夷の様、兵器
   ヒハヤビ         素早い火の回り     急燃焼兵器
   タケミカヅチノヲ     強力な閃光を発する土  強力爆弾、核兵器
   (タケフツ)       強力な断ち切り     核兵器の効果
   (トヨフツ)       あらゆる断裂      核兵器の影響
   クラオカミ        暗・竜神        暗く淀んだ天空
   クラミツハ        暗・水神        黒く淀んだ水系
   殺されたカグツチノ神の体から八種の山の神が生まれたが、何を表すかは不詳
   しかし、前出の山野の神が良くないきっかけを作ったことと同じ線上にあるだろう
 [刀] 天のヲハバリ     尾羽張り、とおせんぼ 凍結、(経済)封鎖
    (イツノヲハバリ)
                                




黄泉の国(中半)







 ここにその妹イザナミの命を相見まくおもほして、黄泉國に追ひいでましき。ここに殿の縢戸より出で向かへたまふ時に、イザナギの命語らひてのりたまひしく、「愛しき我が汝妹の命、吾と汝と作れる國、未だ作りをへずあれば、還りまさね」とのりたまひき。


 ここにイザナミの命のこたへたまはく、「悔しかも、速くきまさず。吾は黄泉戸喫しつ。然れども愛しき我が汝兄の命、入りきませること恐し。かれ還りなむを、しまらく黄泉神と論はむ。我をな視たまひそ」とかく申して、その殿内に還り入りませるほど、いと久しくて待ちかねたまひき。


 かれ左の御髻に刺させる湯津爪櫛の男柱一箇取りかきて、一つ火ともして入り見たまふときに、蛆たかれころろぎて、頭には大雷居り、胸には火の雷居り、腹には黒雷居り、陰には拆雷居り、左の手には若雷居り、右の手には土雷居り、左の足には鳴雷居り、右の足には伏雷居り、あはせて八くさの雷神成り居りき。
【訳】: イザナミ文明は、もはや冥界に移行していた。


 その状態から救出すべくイザナギ文明の側から、もう一度やり直せないものかという提案が出された。イザナミ文明は、もう手遅れで後戻りできそうもないが、なんとか努力してみるから、余計な詮索をせずに待っていてくれと言う。


 しかし、いくら待っても努力している気配がないので、知恵の火に照らして中を覗いてみることにした。


 すると、物質文明世界は、いたるところで環境破壊や戦火の度合いを凄まじくしており、ありとあらゆる怒号が充満して、どろどろになるまで腐敗が進んでいた。


 文明の様子は、さながら雷の巣窟のようであった。

ここから最終戦争の様相が語られる。
大きな時代もどんづまりとなったとき、黄泉の国からの脱出ルートが開かれる。
それをもたらすのは、桃の実に似た飛行物体である。


黄泉の国(後半)







 ここにイザナギの命、見畏みて逃げ還りたまふ時に、その妹イザナミの命、「吾に辱見せつ」と言ひて、すなはち黄泉醜女を遣して追はしめき。


 ここにイザナギの命、黒御蔓を投げ棄てたまひしかば、すなはちエビカヅラなりき。


 こをひりひ食む間に逃げ行でますを、なほ追ひしかば、またその右の御髻に刺させる湯津爪櫛を引きかきて投げ棄てたまへば、すなはちタカムナなりき。


 こを抜き食む間に逃げ行でましき。

 また後にはかの八くさの雷神に、五百の黄泉軍を副へて追はしめき。


 ここに御佩の十拳の剣を抜きて、後手に振きつつ逃げきませるを、なほ追ひて黄泉比良坂の坂本に到る時に、その坂本なる桃の子三つをとりて待ち撃ちたまひしかば、ことごとに逃げ返りき。


 ここにイザナギの命、桃の子にのりたまはく、「汝、吾を助けしがごと、葦原の中つ國にあらゆる現しき青人草の、苦き瀬に落ちて、患惚まむ時に助けてよ」とのりたまひて、オホカムヅミの命といふ名をたまひき。


 最後にその妹イザナミの命、身みづから追ひきましき。


 ここに千引の石をその黄泉比良坂に引き塞へて、その石を中に置きて、おのもおのも対き立たして、事戸を渡す時に、イザナミの命ののりたまはく、「愛しき我が汝兄の命、かくしたまはば、汝の國の人草、一日に千頭絞り殺さむ」とのりたまひき。


 ここにイザナギの命、のりたまはく、「愛しき我が汝妹の命、汝然したまはば、吾は一日に千五百の産屋をたてむ」とのりたまひき。


 ここをもちて一日にかならず千人死に、一日にかならず千五百人なも生まるる。


 かれそのイザナミの命になづけて黄泉津大神といふ。またその追ひ及きしをもちて、道敷の大神ともいへり。またその黄泉の坂に塞れる石は、道反の大神ともいひ、塞へます黄泉戸の大神ともいふ。


 かれそのいはゆる黄泉比良坂は、今、出雲の國の伊賦夜坂といふ。
【訳】: イザナギはイザナミの方法では建直しは無理と、自分だけでも汚土からの脱出をはかろうとする。


 正体を見破られたイザナミ勢力は、すべてを道連れにすべく、最終戦争を起こした。


 どちらの理念も構成分子たる人類が担う。イザナギ勢力は、黄泉軍の殺戮の手から逃れるべく、核シェルター(軍事施設の象徴)やビル(都市の象徴)をおとりにして、時間かせぎをした。


 それでも幾多の兵器を持って強力な殺戮軍が繰り出してくる。


 そうした殺戮の最中に、時代の境界点(ヒラサカ)である終結の時点を迎えるのだが、その境界の時点(サカモト)に居た桃形の飛行体(UFO、仏教にいう聖衆来迎)が、空に満ちる(モモノミミツ)ほどに飛来して、殺戮軍を撃退したのだ。


 こうして、次の時代を担う人間が、辛うじて橋渡されたのである。


 ここで、地球の将来に渡って、桃の実に一つの委託がなされた。


「理念の顕しに貢献する人類が、今後このような苦境を迎えて難儀するようなときに助けてやってくれ」と。


 この桃の実には「大神の現し身(天の車)」という名が付けられた。


 時代の最後まで、物質文明は地上を蹂躙したが、ある一点を境にそれは完全に消滅し、分子を減らした精神文明が後を継いで、人間は増加の一途を辿ることになったのだ。


 さて、我々の科学観では、存在の状態(相)が隔たる二つの世界の間には、感覚では掴めぬ境界石が置かれ、交通を拒み、互いの秩序を保たせていると考えている。


 たとえば現世と黄泉を往来することは禁忌のことであり、神が許された方法を以てしてもなお難しいものである(イシュタル神話)。


 時間軸上のその開始点に、隔壁の巨大な大岩が仮想されて、「歴史を元に戻す大神(道返し)」とか、「黄泉世界の扉を閉ざす大神」と呼ばれ、過去のイザナミ文明のことは、「世の面を尽きさせた(ヨモツ)大神」とか、「歴史を最後まで蹂躙した(道敷き)大神」と呼ばれた。


 また、時代の接点を、今に「出生(新生)の前夜坂」という。


  最終局面を飾る代表的な事物
  エビカヅラ    壊・火・鬘      
    火避けドーム、核シェルター
  タカムナ     高・棟(タケノコ状)     高層ビル
  ヨモツヒラサカ  世の面尽きる時間上の究極地点 時間的な終焉を象徴する地
  オホカムヅミ   大神の実(桃状のもの)    聖衆、UFO
  道敷き、道返し  道=歴史、時間 敷き=仕切る 歴史を仕切り、元に戻す
  塞へます黄泉戸  黄泉の戸を閉ざす       過去の歴史を閉ざす

どうだろう。世相を黄泉(死に体)の状態にしたものの正体。お分かりになったろうか。
また、黄泉の国からの脱出に成功する方法があることも、理解されただろうか。

坂本氏、宇宙人と銀河について話す

当会の坂本氏。とうとう自らの真骨頂について語り出した。
彼は五種類の宇宙人とすでに入魂であったことから、宇宙人の持つ
たくさんの知識情報を手に入れていた。
かねがねそのような話を私にはぽつぽつしてくれてはいたのである
が、私がにわかに信じてくれないだろうからとして、多くを語って
いなかったのだ。
ところが今回、彼は宇宙の諸原理、中間子論の真髄、銀河系におけ
る地球のような生命を宿す惑星のこと、銀河系の支配階層といった
ことを雄弁に分かりやすく語ってくれたのである。
前二者は高度な専門知識が必要なので詳しく聞けなかったが、後二者につ
いては簡単であることから、宇宙人から聞いたままに語ってくれた。
まず、銀河系には二万六千個の地球的惑星があるということ。
それらを八人の皇帝が分担して支配していること。
またその各皇帝の上に八人の管理者がいて、さらにその上に一人の
統括管理者がいるとのこと。
この体制で銀河系はその運行が守られ保たれているとのことである。
ただ、八人の皇帝の座のひとつが今のところ空座になっており、宇
宙人の話では、そこに日本の天皇が入ることになっているというのだ。
ただし、天皇とは、日本国民が天皇と認めた人のことであるとのこと。
しかも、いつのときの天皇であるかについて、坂本氏は言及を控えた。
現在の天皇家にこだわっていないらしいのだ。
実は日本人全体に、宇宙人の血が流れているという。
当初は純血であったものが、後に遺伝子工学的に創られた人種との
混血が進んで、今の日本人があるとのこと。
その宇宙人も、彼の知っている宇宙人種五種のいずれもが、姿形は
違えど同じ血脈であり、それと同じ血脈が日本人のルーツには流れ
ていたというのである。
つまり、銀河系の支配者自身が宇宙文明を築いた宇宙人たちと同根
であることを意味している。
このことから、第八の皇帝の座が天皇というのも至極当然のことと
なるわけで、しかもある時期に天皇として国民から称えられている
人物が宇宙の皇帝として迎えられることになるらしい。
坂本氏はあるとき、八人の皇帝のうち五人に出会ったことがある
という。そしてその風貌は覚えているとのこと。
ところがあと二人がどうしても思い出せないらしい。
彼は、自分の苦手な生き物であったから、記憶を消されたのかも知
れないと言う。それは、蜘蛛と蛇。
それでも、坂本氏は、私の問いに答えてあえて言う。
蜘蛛は女であったと。
おそらく蛇も女であろう。(これは私が知っている)
ホピ族の神話には、世界創造に関わった神として、蜘蛛女の伝承がある。
人類が三度にわたる滅亡を経て、今の時代の黎明期に至ったときに
人々に生き方について指導した神であるが、その類似は興味深い。
さて、坂本氏はかつて宇宙にいたのであるが、何かもめごとを起こ
したため、地球に転生させられたらしいのだ。
そういえば、私もそんなことをした記憶がある。要は、地球に生ま
れている人のかなりが、宇宙における問題児だった可能性があると
いうわけだ。
だが、私はその”問題”については異議がある。それは政争で
あり、非常に憤懣やるかたないものであった。

神話力学からみたUFO

発狂的真説
天神地祇の理論
神話力学的に見るとき、天神は人類を地祇の平和に暮らす地球にある計画の移殖のために下ろしたのである。
天神はこの際宇宙人と読み替えても良く、宇宙人と地球古来の生き物たちとの攻防がこのとき始まったと言っていい。
しかし、宇宙人は圧倒的な制圧力によって地祇を強伏した。
そして、人類を強制的に移住させたのである。
そのときに、地祇に対しては、表世界に出ず、物陰に隠れているように促した。地祇の長は地祇全体をそのようにとりまとめていくことを約束した。
以来、地祇は人間の行動に対して、露骨な集団行動をとるようなことはせず、一部的に親密にしたい人間を特別に援助したり、テリトリーの侵犯などのときに感情的な敵対行動を一部的にしたりする程度となったのである。
一方、天神は人間に地祇と交流する力を与えない施策をとった。見れども見えず、聞けども聞こえずと、感覚(観測)上の能力を殺いでいったのだ。
だが、人間はそもそも地球にあった生き物の遺伝子を土台にしていた。だから、その能力をすべて殺ぐことはできなかった。注意力のある者は地祇の世界を感得し、見えない聞けない人々にシャーマンとして伝えたのである。
ここで重要なのは、人類は天神と地祇の両者から孤立して創造されているということである。
根深い地祇の天神系への不信。いつまでよそ者の横暴するに任せているのかといった議論が地祇の間で交わされていたのは、すでに昔のことである。
だが、地祇は戦争に負けて地球を明け渡した格好になっていたから、いつ戻してくれるのかといった話も空虚なものであった。
そのうち、地祇は人間が地祇的な感情を併せ持つことを知り、そして喜び、新たな仲間として認める動きもあった。
だが、天神はそのようなことを許そうとはしなかった。
人類には、人の第六感以上のものから次第に乖離させるべく、また計画の進行もあいまって、人の心を平和から攪乱擾乱の方向へと加速させていったのである。
目先欲に人々を駆り立てるマネーゲームの坩堝に放り込み、あらゆる階層において心が休まる状況を作らせないようにしていった。
そもそもの天神の人類移殖計画は、宇宙の存続に関わる重要な計画のもとにセットされていたのである。
それは、この宇宙はそのままにしておけば数百億年の後に萎縮し崩壊してしまうと測られていたことによる。
それを延命させるのは、生命力の活発な動きとされ、とりわけそれを誘導するのは、生きたいという精神波動であると科学的に結論されたのだ。
このために、宇宙の様々な拠点にこの種の精神波動惹起のためのシステムを構えたのである。そのひとつが地球であった。
この閉ざされた生命系の中で、最も効率的と考えられた善悪混交の演劇をやらせれば、そこから生産される精神波動エネルギーはある程度確保される。
それを他の未発達惑星へと照射していけば、同類の進化を遂げる惑星生命系ができていくというわけである。
これ以外に、地獄モデルという戦と怒号に明け暮れる生命系の普及ではどうかと測られたが、これは逆に生命力の不活性を招くことが分かったため、地球モデルに悪の要員を送り込むための補助機関として据え置かれた。
地球人においても見込みのある者はここに送られ特訓されるのである。
地球はこうして、いくらあがいても幸福とは無縁の世界となったのである。むろん、功過によって幸福な一生を過ごせる者もいる。だがそれはごく一部の理想状態であり、努力目標の好例として掲げられる程度で、ほとんどは精神不安定の状態を揺れ動かねばならないのである。
ただ、人は死ぬとき、一生の中でしてきたことの整理をさせられると共に、そこから査収されるべき個人的な悟りを学習する。それと同時にやってくる愛ある存在との邂逅は、彼をして最大限に安らがせるひとつのプログラムである。
そして、地球上でしてきたことの功罪を背中から下ろす。
それは彼が本来天神などと同格の意識原理の目を持つゆえに、最後に計らわれてもいいはずの摂理としてあてがわれている。
いわゆる「お疲れ様」摂理なのだ。
こうして彼はいったん地球上の事象とは離れた存在となる。
しかし、様々な未練などが転生の域にとどめるため、何度でも再来を繰り返すというわけである。
人類はこうして、天神からの愛のない擁護と地祇の怨念の間で暮らす孤独な存在となっている。
山古志村の大地震
山古志村を大地震が襲ってちょうど一年となった。
神話には古志のヤマタノオロチが年々やってきて処女を食うと書かれる。
ヤマタノオロチは火山帯地震帯の意味である。
それをかつてスサノオノミコトが一計を案じて抹殺した。そのときに使った計略と言うのが、垣を作り廻らし、その垣に八つの門を作り、門ごとにサズキを結って、酒を置くというものであった。
オロチはその酒を飲み酔いつぶれるだろうと考えたのである。
その表現、八門遁甲を想起するむきもあろう。諸葛孔明が敵軍を死門に導き壊滅させたといった妖術だ。
その原初の形は、マウンド作りであった。
地祇との交流がないために、人間は何も知らずにいろいろな経済活動を行う。
そのマウンド群が今や崩壊の一途を辿り、オロチも復活するという象徴的な出来事として、山古志村大地震は起きていることを、神話は暗示しているのである。
突然のオロチの活動は、天神にとっては人界に擾乱をもたらすひとつの綾に過ぎない。
しかし、地祇の側の反動の規模が大きくなるのを押さえ込むべく活動はしている。
UFOがなぜ地震などと関連して多く出るか。
それは計画にそぐわない地祇の反動的動きを制圧するという行動であり、その意味において、人類にとってはありがたいことである。
だが本来のあるべき姿はこのようなものではない。
人類は地球に住む限りは先輩である地祇の温情の中で実り豊かに暮らすべきであり、天神の奇妙な計画から乖離しているべきである。
しかし、この方向に人類が気づき、至ろうとした場合は、それこそ「宇宙戦争」の事態となるだろう。
宇宙人。それは何か。
宇宙の永久存続を第一義とする天神の意向を受けて動く宇宙人グループと、まったく傍観者的中立な宇宙の広域にネットワークを持つ宇宙文明がある。
地球を訪れるUFOには、その二種類があるのだ。
そして後者は、地球という惑星の存在意義を知りつつも、同情の気持ちを持って人類を見つめている。
同様に、宇宙にはかつて全域を主催した神々がいた。彼らは宇宙を理想郷にすべく土台作りをしたのだが、クーデターにより邪神に乗っ取られてしまったのである。
権力への野望を持つ邪神たちは、宇宙を権力伸張の土台に作り変えてしまおうとしている。
こうして、天にもある如くが地にもあるという相似像がそのまま地球の支配体制にも端的に現れているのである。
だが、かつての太古の神々は死に絶えたわけではない。
正神たちは今の天神族を邪神であると断じ、宇宙はあるがままに運行させるという当初の目的が捻じ曲げられているとし、これを由々しきことと考えている。
要は、彼らの権利構造存続のためだけの宇宙の寿命論に終始しているに過ぎないのだ。
そのためにとんでもない不利益を被るのがその中に住む有情である。
このゆえに、正神はかつてあった理想状態に戻すことを前提に、建て直しのために総決起した。
正神側の最終兵器は火の鳥である。
これは今、フォトンベルトとして地球に向かっている。
邪神を地球に集めて最終決戦するために。
決戦の最中、地球にもし影響が及ぶようなら、第二の側のUFOが人類の救出に駆けつけるであろう。
そのとき第一の側のUFOにゆめゆめ乗ってはならない。第一の側は次の計画のために遺伝子操作実験にかけるだけだからだ。
時代の間に半人半獣のキメラ生物が幾多いたことに留意すべきである。
以上 奥人説 (様々な神話、伝承をもとに辿りついた仮説につき信憑性のほどは保証しない)

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台風撃退実験

ホラ吹きのホラ吹き的記録
台風と語り合った効果が出た。
何せ去年、親戚の家は床上浸水、我が家のひさしも半分以上吹っ飛んだ。
その親戚が、やってこようという前日なのだ。
ホテルはとっている。料理屋は予約している。
とんだ妨害ではないか。
坂本氏が伝授してくれた道満の技で、14号の神を呼び出して話し合いをした。
「日本列島に近づくな」
「なにおー。人間のしてきた横暴に対する報いを受けさせるのだ。妖怪地祇ならば黙っておれ」
「人間は悪くはない。人間をむかしこんな馬鹿に作った奴がいる。それが良くないのであって、人間はただその計画通りに動かされているだけだ」
「そいつに対して間接的にしろ報いを与えるのだ」
「それこそ馬鹿なことだ。そいつは高見の見物をしているだけで、どっちがどうなろうが、鼻くそほじって笑ってやがるよ」
「うう。だが、いちど抜いた鋒は収まらぬ」
「ならば撃退するしかない」
私は術をかけた。すると彼はにわかにたじろいだ。
「いいか。山陰からこのあたりにかけては絶対に手を出すな」
私は進路を太平洋はるか沖に指示したが、時すでに遅かった。
ニュースを見れば一目瞭然。
抜いた鋒を収めきれずに、躊躇逡巡しながらもたついている。
海水温のせいで、勢力をそぐにそげないでいるようだ。
「日本海のど真ん中を通って、なるべく迷惑をかけずに速やかに去れ」
14号は悔しげに泣く泣く去っていった。
あちらではハリケーンが猛威を奮った。
被災したのは結果、事の本質から最も離れた貧困層であった。
よく考えもせず暴虐を奮うのが地祇の良くない癖である。

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