以前にも書いたことがあるかもしれません。
これは本当に私の今いる場所であったことで、推理部分を除いてほぼノンフィクションであることを宣言します。
猫世界の楽園追放劇が、私が今住んでいる山奥でありました。
猫たちがそこではたくさん飼われていて、猫好きの飼い主の愛情とケアーで幸せに暮らしていたそうです。
その家の屋号は「桃源郷」。ほんとうにその屋号を未だに看板に掲げています。いわゆる中国版エデンの園です。
ところがその飼い主さんが病気で、突然亡くなり、相続人がさっそく売りに出してしまったのです。
そのとき、猫たちが邪魔ですから、みんな追い出して、家に入れなくしてしまいました。
そして、次の持ち主になりましたが、その人も猫には関心がなかったのです。
さてその頃すでに20匹近くいたという猫たちはどうしたか。
手分けして新しい飼い主もしくは餌場を探さなくてはなりません。
漂泊の猫民がこうして生まれたのでした。
彼らは知恵者の長老格の猫の采配に従い、四散して活路を見つけに行きました。
元の居場所から300mほど南東に果樹園を営んでいた老夫婦がいました。
次から次へとやってくる猫に心を痛めて餌をやるようにしてみれば、とうとう20匹近く集まってしまいました。
それ以来、老夫婦は月3万円ほどの出費をしながら、今まで20年近く飼っているとのこと。
私が移り住む10年以上前から、そんな暮らしをされていたそうです。
不思議なことに、数は20匹程度で、ほぼ一定しているとか。死ぬ頭数と生まれるのとがつりあっているのだとか。
そして、不思議なことに、この猫たちの中の年功を経た長老格猫は、したたかな策士であり、妖術を使うのです。
比較的若い猫でも、いざりのふりをして、驚くような高くて狭いところに、飛びあがったかして、じっと座っていたり。
まるで忍者の草ではないのか。
それは私の経験したことであり、当の果樹園の老夫婦はまったく与り知らないことだったのも不思議。
そして忍者軍団のようになって、私のところで飼い始めていた猫たちを波状的に襲撃してきたのです。
ここは猫を愛好すると見た彼らは、こちらの猫を追い出してでも、テリトリーを増やそうとしたのかと思います。
まだ幼猫だったうちの最初の三匹は、脅されて大変な目に遭いました。
それに頭を痛め、幼猫たちを防衛して、彼らを懲らしめようと一室に閉じ込めてしまうような仕掛けをして、やってきたと見て紐を引っ張ってみれば、なんといつも襲撃しにきていた2匹が、ひょこひょこと挨拶しにくるではないですか。帰順の意を表しますって感じ。
ところが、はっと目が覚めて、夢だったことに気付き、残念がったわけでしたが、ななななんと。
その朝、私が起きてごそごそしていると、外から「カーカー」とあの二匹のうちのオス猫の鳴き声がします。
窓を開けてみると、階段の下に例の二匹がこっちを見上げて「カーカー」言っているのです。
それまでは私の姿を見ただけで一目散に逃げていた猫が、おりてきてくれーっ、と呼んでいるのです。
エエーッ!!
それで餌を持ちながら外へ出れば、今まで一目散していたのが、足にまとわりついて「カーカー」。
つまり、さっきがた、夢の中にしろ帰順の意を表しましたでしょ、ということのようなんです。
私はまだうちの猫らにしたことを赦してないのに。あつかましいなと思ったけど、その術達者には驚いた次第。
人の夢までコントロールしやがるのです。
朝のシーンは映像に撮ってあり、Youtubeに揚げてあります。
その後、毎日親し気にやってきて、しばらく居ついていたりしまして、仕方なく、外回りの北面の警護に配属。
うちの猫はやはり脅えて家の中に閉じ籠もってましたね。そのうち、うちのオスの一匹はその猫軍団の仲間入りをして、向こうの手先に使われたりもしていました。その代わり、メス猫には不自由しなかったみたいです。うちの子もなかなかやります。
私はその頃はまだ、果樹園の老夫婦のもとに多数の猫が居就く経緯を知らずに、迷惑がっていただけでしたが、うちの前をたまに通る、すでに長年この地にいる人に猫のことを聞いたところ、飼い主の死去によって放り出された不幸な猫だったことを、初めて知ったのでした。
そこで気付きました。これは私への大きな啓発だと。ここに来て、こんなことでもなければわからなかった一大啓発。
もしかしたら、この地球人類の中のユダヤの民というのは、飼い主つまり神の死を知らずに、神の怒りに触れてとか神に裏切られて、とかの形で楽園を追い出されたのだと誤解していないだろうか。
神への愛が、神への憎しみに変わり、神の被造物すべてへの八つ当たりとして現れるような歴史にしてしまっているのではないかと、私は推理したのです。
旧約には、知恵の木の実ですか、意味不明な話が載っているだけですが、彼らには本当の真相が未だにわかっていないわけでしょう。
このことをユダヤ人が知れば、人類無視、人類憎悪の横暴さもなくなるのではないかと、私は真面目に思っているのです。
頭のいい民族なのに、もっと合理的に物事を考えられないのかと、言いたくなります。むろん、私の推測も間違っているかもしれませんが。
その後、その二匹のうちのオス猫が、命を張って懸命に我が家に忍び込み、家の中に居就いてしまおうとしたのを、叩きまくって撃退し、
もう一匹のメス猫も居就こうとしたのを、追い回し追い詰めておいて、彼らが味わった残酷な楽園追放の真相をじっくりと、目と目を見合わせながら、説いて聞かせてやりました。
どうやらその話を理解して、果樹園の猫たちに持ち帰ったらしく、以後、猫軍団はまったくこなくなり、襲撃はピタっと収まったのです。
あとで果樹園の老夫婦に聞けば、あの二匹の猫は全体の最長老になる夫婦猫だったそうで、その後間もなしに、オス猫のほうが亡くなり、そのあとを追うようにして、メス猫が亡くなったとのことです。
よほど一族の命の存続に対して責任感を持っていたのだろうと思います。まるであの民ですよ。
オス猫の名は石松、メス猫の名はミケでした。(仏壇で唱名して日々弔っています)
今年4月に、果樹園の老夫婦のうち、奥様が亡くなられました。
猫を飼ってやることを決意したのは奥様でしたが、旦那様は奥様の厚志を継いで、20匹もの猫たちの世話をされています。
話せばわかるのは猫のほうで、人間のほうは話しても、無理でしょうか。
第三次大戦がやはり始まるのでしょうかねえ。