毎日のように来ていたブーが、まる三日間姿を見せていません。
ただ、今朝3時半ごろに、トンと言い合う猫の声がしばらくしていました。ブーだろうと思います。
トンは去勢猫なのに、我が家のテリトリーを喧嘩してでも守ろうとします。
相手がうちの猫であっても、彼にしてみれば余所者なんでしょう。
こうして黒猫ブーの訪問は今日もなしとなりました。
A家に連絡すると、どうも向うにいるらしいです。
私は、ブーが産ませた子供のこともあり、餌の差し入れをしてまいりました。
帰りがけにA家の裏道を下ってくると、ブーの子らしい、尻尾の先がチンのように丸まった黒猫がいて、もう7,8カ月ほどの大きさになっていて、別の色をした同年代ほどの猫二匹(白黒のぶち、茶色一色)とともに道路に屯していて、道をふさいでいました。
しばし様子を見ていると気が付いて、みんなして木立の中に。
そのときチン似の黒猫をしっかりと見ることができました。
ブーももう隠居しなくてはね。
そのときは、うちのほうでなく、A家がよほどいいんだろうな。
Aさんに、面倒でしょうが、そちらがいいみたいなので、よろしく頼みますと申しますと、快く引き受けてもらえました。
かつて桃源郷という屋号の別荘で飼われていた猫たち。
それが飼い主の死去で、楽園追放になり、苦労してようやく善良なA家に拾われて命を繋ぎました。
長老猫たちは子孫たちの集団を抱えて、それはもう権謀術数も弄せざるを得なかったことでしょう。
うちはその襲撃を受けたり、帰順の夢見工作をされたり、座頭市まがいの盲目猫のふるまいに、唖然とさせられたこともありました。
それほどにすごい術達者組織にA家の猫はなっていたわけです。
しかし今度は、Aさん夫婦もまた高齢者で、いったいいつまで達者でおられるのか分かりません。
また私も、心臓病ゆえの先行きの不確かさがあり、我が家も含めて、この猫たちは再びみたびと、楽園を追われる立場になるのかと、可哀想でなりません。
ちょうど今度はブーが長老世代にもなってくる番でしょう。
どうやって集団を率いてやっていくのでしょうね。
ブーよ、お前はほんとうに密度の濃い経験をしようとしているのだなあ。
がんばれよ、ブー。