胸にぐさっと刺さるような状態で息絶えていた”たま2世”
というのも、我が家からちょうど鬼門の方角、道路を隔てた向かいの石垣の上に、スズメバチの攻撃を受けながらの状態で、屍を横たえていたのです。それはもう、まるで誰かそこに安置したかのように、きれいな寝相でありました。
後ろにいつのまにか食事を終えたブーが来ていて、私の独り言をぜんぶ聞いていたようで、意趣を悟って、A家へと戻っていきました。
なぜか、この鬼門の方角は、A家の猫がキープしたがるのです。というのも、前にいたA家の石松も、私への帰順後、このルート上に居座ることがたびたびで、私はわざと、鳥居のような門を作ったときに、狛犬としての小屋をあてがっていたこともあるのです。その石松と同じような動作をするのが、たま2世でした。
しかし、我が家に先代の猫ブーフーウーがやってきたときにも、白虎とシーサーのつがいの化身として来ており、子猫としてやってきた一週間後くらいに、私にそのように夢見させているのです。
石松に鬼門を任せるようなことをしなければ、フー(白虎)は早逝したりしなかったのではないかと思ったりもします。
とにかくA家の猫は、私や我が家の猫たちにとっては、気まずいことばかり持ち込む存在だったのです。
今は、たま2世はもしかすると、かつてのたまの再来かもしれないと思ったりもし、手厚く祭る所存でいます。
石松、たま、とこの世を去り、長老格の猫御三家のうち残るミケは、私が最後まで面倒見るぞと伝えると、なぜかA家に帰ってしまい、もう現われなくなりました。むろん暑さのせいかも知れません。ならば、またやってくるでしょう。