スサノオは黄泉の国にいる母イザナミのことが愛しくてたまりません。
しかし、父イザナギは、その世界の様子の異様さ、恐ろしさを見て、スタコラ逃げ出してしまったので、イザナミを救出してくることはできませんでした。
シュメールやバビロニア神話では、黄泉帰りは成功しているのに、日本では口惜しくも、イザナギの非英雄ぶりによる失敗に帰結しているのです。
イザナミは絶望のあまり、人口削減を宣言します。すると売り言葉に買い言葉、イザナギは人口増加を宣言。両者それぞれの道を行くということで、めでたしとなるとか?
そうは参らぬでしょう。これでは、元あった夫婦の溝は埋まりませんし、永久に仲直りできないでしょう。
そもそも、そのように理想状態とはかけ離れたシナリオ設定がなされているのです。
神話を創る者は、心を込めて作らねばならないのに、古事記神話は真逆の不真面目さで綴られています。
いったい誰が? 天武天皇ではありません。彼は「平安楽土万年春」を理想にしていましたから。
また、彼のエバーグリーンの思想が、一年生草本に置き換わっていたりもしています。
せっかく理想を込めて作られていた神話が、彼の亡き後に改竄されているもようです。
では誰が? それはもう悪魔に違いないでしょう。トゥモローランドの総督? それもいいね。
神話は、神々をも封印呪詛で縛る道具になりえます。
哀れなことに、神々の親子関係にまで亀裂が入ってしまったままに置かれています。
そこで私は、神経質なイザナギに代わって、豪放磊落なスサノオによる、イザナミ救出劇の新神話シナリオをプレゼントすることにしました。新神話第十五章にそれは書いてあります。
うまくいけば、今のこの絶望的な世が改善されていく効果として顕れてくるかも知れません。
またそれは、スサノオの飛躍的な名誉挽回にもなるのは間違いないでしょう。
いつまでも泣いてばかりいてはなりませんぞ。スサノオ様には、大命が賜与されました。
大丈夫。新神話はすでに上奏されていますから、確定ピンフドラドラのドラが鳴っています。
英雄神スサノオとして、羽ばたいてください。