古事記が預言していた現代

ここに記すことは荒唐無稽な感があるも、非常に重要なことである。
私のような無名浅学の徒でなく、明治から昭和初期にかけての国文学者が意趣を汲み取り訳していれば、これが皇室の重要文献であるだけに、どれほど歴史的影響を発揮していたか知れないことをお断りしておく。
古事記は平易な暗号化文献であり、多くは神名に事の仔細が盛り込まれている。
古事記上つ巻・神々の生成の段は、現代の物質文明隆盛に至る経緯が簡潔に描かれているのが特徴である。
後段の「黄泉の国」にいたる過程を示すことにより、古代の賢者が後世の人々に何を語りたかったかが明らかになるはずである。

神々の生成


   [分野]     神 名       字義分解       解 釈     
  
  イザナギ、イザナミの二神は、国生み後に次の神々をお産みになった
                                        
 [建設] 大事忍男        大事推し      大土木事業の推進
      石土毘古、石巣比賣             石土造建造物、住居
      大戸日別        戸窓で日を制御   遮光、採光設備
      天の吹男        天から吹き込む   換気設備、天窓
      大屋毘古        大きな館      大規模な建物
      風木津別忍男      風持ち分け     通風、送風の設備
 [海洋] 大綿津見        大渡の海      海洋の大航海
 [港]  速秋津日子、比賣    物資の速飽き    貿易港、流通港
 [河海]*沫凪、沫波       勢いよい水の制御  運河、水路の水量調整
     *頬凪、頬波       滑らかな水の制御  ダム貯水池の水量調整
     *天の/国の水分     水を分配するもの  上水道、下水道、水路
     *天の/国のクヒザモチ  水を汲むもの    上水道の末端設備
 [風]  シナツヒコ       風にしなる     木の樹齢の譬えにより
 [木]  ククノチ        木の股を潜る    時の経過の長さを示す
 [山]  大山津見        大きな山並み    山岳地帯 
 [野]  茅野比賣(野椎)    茅茂る野原     一面の野原
 [山野]*天の/国の狭土     区画        国土の細分、領有
     *天の/国の狭霧     線引        縄張り(の主張)
     *天の/国の闇戸     倉の戸       世相の暗転 
     *大戸惑子、大戸惑女   大きな戸と窓    大混迷の世相(時代)
      鳥の石楠船(天の鳥船) 空飛ぶ堅牢な船   航空機、戦闘機
      大宜都比賣       大規模な生産    大工業生産
      火の夜藝速男      燃焼が速いもの   石油の利用
      (火のカガビコ)    火が輝く有様      〃  
      (火の迦具土)     火により輝く土   火薬   
  イザナミの神は、ミホトを焼かれて病気になり、寝込んでしまわれた
 [吐物] 金山毘古、毘賣     金の山       金属工業の隆盛
 [糞]  ハニヤス毘古、毘賣   土でできたもの   非金属工業の隆盛
 [尿]  ミツハノメ       満つ・葉・飲め   多種大量製品の需要
      和久産巣日       湧く・結び     生産需要結合の経済体制
     *豊宇気毘賣       豊富をさばく受皿  流通機構、市場 
  イザナミの神は、火の神を産んだことにより、遂にお亡くなりになった
 []はその神にちなむ場所、*は直前の二神により生まれた神
 ()は直前の神のまたの名。

それは一つの文明の風俗描写から始まった。大事業の推進とは、大土木工事のこと。石でできた家、
館、神殿などが造られ、採光、送風など、建築物の主要な構成要素が挙げられている。
次に、「大綿津見」(大渡つ海)で大航海を暗示し、港を示す「速飽き津」で物資の速やかな充足を図る貿易港を暗示している。
さらに水との関連から、運河や水路の水量の調節の様子、水の分配や採水設備について語っている。
その次は、風、樹木、山野の神名で長い時の経過と雄大さを示し、のどかさを感じさせる情景描写である。
だが、その次から二通りの意味を帯びてくる。 縁語を使い、わざと両面から話を進めているのだ。
それまでの流れからいうと、土木関連用語を並べ、倉庫の扉や大きな窓からの採光について語っているようにみえる。ところが、もう一方では、区画線引による領土や縄張り争いから、利己的な心根が招く世情の暗転や大きな混迷について語っているのである。
すると、その次には石や楠のように堅牢であるが鳥のように速やかに飛ぶ船、飛行機が登場してくる。
これは歴史の必然なのだろうか。
 
大宜都比賣は穀物生産の神であるが、ここでは工業生産に関係した表現となる。
大規模な生産が始まり、急燃焼するもの(石油など)の登場によって、生産神イザナミの病態、さらに死へと繋がっていくのであるが、その前に、イザナミのミホトによらぬ嘔吐物から金属工業が、糞から非金属土類の(セラミックなどの)工業が、尿から満ち溢れた種々の物を飲み取るだけの需要、湧き出る生産物をそれに結びつける経済体制、その下に豊かな受皿としての市場流通体制が生まれたという。
この部分はまさに、現在の我々の世界の有様を、先取りして語っているように思われてならない。
一応、イザナギ、イザナミの二神の協力で創られた神々という扱いになっているが、あまり良い展開ではなかったことを、汚物からの神生みで表現しているわけだ。
つまり、根底には利己主義、利便主義の影が濃厚に横たわっており、そうである限り、その先には着実な歩みで黄泉の国が到来すると、古事記は語っているのである。
次は黄泉の国の段だ。
黄泉の国
現代文明の利器を想起させる神名で埋め尽くされるこの段。
物語の進行と共に、平易な大和言葉により誰にでもイメージできるようになっている。
このような事象が出現するようになったら気をつけろとさえ述べているのである。



黄泉の国(前半)







 かれここに、イザナギの命ののりたまはく、「愛しき我が汝妹の命を、子の一木にかへつるかも」とのりたまひて、御枕辺にはらばひ御足辺にはらばひて泣きたまふ時に、御涙に成りませる神は、香山の畝尾の木のもとにます、名は泣澤女の神。


 かれその神避りたまひしイザナミの神は、出雲の國と伯伎の國との堺なる比婆の山に葬めまつりき。


 ここにイザナギの命、御佩の十拳の剣を抜きて、その子カグツチの神の頸を斬りたまひき。 
【訳】: 今まで積極的に生産に携われなかった精神文明の側では、達成すべき両文化の均衡のとれた発展が、急燃焼関連物の登場で一気に損なわれたために、非常な後悔が生まれた。


 とりわけ悲惨なのは、戦争と環境破壊の間で泣く被災者であった。


 魂の脱け殻となった物質と利益主導型文明は、現実世界と黄泉の世界の境界地(死線)に置かれた。


 このような破滅の原因は、剣のごとき英知に照らすと、燃焼関連の事物が登場したことによると理解できた。


 この時生まれた教訓は、かの破滅の顛末を次のように語り、歴史を引き継ぐ者達に、このような兆候が現れたなら、再び組するなかれと告げる。


  黄泉に導いた兵器類
   カグツチ         輝く土         石油、爆薬 
 [カグツチ神の血から生まれた神々]
   石拆(イハサク)     岩が裂ける       爆裂、炸裂
   根拆(ネサク)      根元から裂ける     爆裂の激しい様
   石筒の男         堅牢な筒の力      大砲 
   ミカハヤビ        閃光と素早い火     爆裂と焼夷の様、兵器
   ヒハヤビ         素早い火の回り     急燃焼兵器
   タケミカヅチノヲ     強力な閃光を発する土  強力爆弾、核兵器
   (タケフツ)       強力な断ち切り     核兵器の効果
   (トヨフツ)       あらゆる断裂      核兵器の影響
   クラオカミ        暗・竜神        暗く淀んだ天空
   クラミツハ        暗・水神        黒く淀んだ水系
   殺されたカグツチノ神の体から八種の山の神が生まれたが、何を表すかは不詳
   しかし、前出の山野の神が良くないきっかけを作ったことと同じ線上にあるだろう
 [刀] 天のヲハバリ     尾羽張り、とおせんぼ 凍結、(経済)封鎖
    (イツノヲハバリ)
                                




黄泉の国(中半)







 ここにその妹イザナミの命を相見まくおもほして、黄泉國に追ひいでましき。ここに殿の縢戸より出で向かへたまふ時に、イザナギの命語らひてのりたまひしく、「愛しき我が汝妹の命、吾と汝と作れる國、未だ作りをへずあれば、還りまさね」とのりたまひき。


 ここにイザナミの命のこたへたまはく、「悔しかも、速くきまさず。吾は黄泉戸喫しつ。然れども愛しき我が汝兄の命、入りきませること恐し。かれ還りなむを、しまらく黄泉神と論はむ。我をな視たまひそ」とかく申して、その殿内に還り入りませるほど、いと久しくて待ちかねたまひき。


 かれ左の御髻に刺させる湯津爪櫛の男柱一箇取りかきて、一つ火ともして入り見たまふときに、蛆たかれころろぎて、頭には大雷居り、胸には火の雷居り、腹には黒雷居り、陰には拆雷居り、左の手には若雷居り、右の手には土雷居り、左の足には鳴雷居り、右の足には伏雷居り、あはせて八くさの雷神成り居りき。
【訳】: イザナミ文明は、もはや冥界に移行していた。


 その状態から救出すべくイザナギ文明の側から、もう一度やり直せないものかという提案が出された。イザナミ文明は、もう手遅れで後戻りできそうもないが、なんとか努力してみるから、余計な詮索をせずに待っていてくれと言う。


 しかし、いくら待っても努力している気配がないので、知恵の火に照らして中を覗いてみることにした。


 すると、物質文明世界は、いたるところで環境破壊や戦火の度合いを凄まじくしており、ありとあらゆる怒号が充満して、どろどろになるまで腐敗が進んでいた。


 文明の様子は、さながら雷の巣窟のようであった。

ここから最終戦争の様相が語られる。
大きな時代もどんづまりとなったとき、黄泉の国からの脱出ルートが開かれる。
それをもたらすのは、桃の実に似た飛行物体である。


黄泉の国(後半)







 ここにイザナギの命、見畏みて逃げ還りたまふ時に、その妹イザナミの命、「吾に辱見せつ」と言ひて、すなはち黄泉醜女を遣して追はしめき。


 ここにイザナギの命、黒御蔓を投げ棄てたまひしかば、すなはちエビカヅラなりき。


 こをひりひ食む間に逃げ行でますを、なほ追ひしかば、またその右の御髻に刺させる湯津爪櫛を引きかきて投げ棄てたまへば、すなはちタカムナなりき。


 こを抜き食む間に逃げ行でましき。

 また後にはかの八くさの雷神に、五百の黄泉軍を副へて追はしめき。


 ここに御佩の十拳の剣を抜きて、後手に振きつつ逃げきませるを、なほ追ひて黄泉比良坂の坂本に到る時に、その坂本なる桃の子三つをとりて待ち撃ちたまひしかば、ことごとに逃げ返りき。


 ここにイザナギの命、桃の子にのりたまはく、「汝、吾を助けしがごと、葦原の中つ國にあらゆる現しき青人草の、苦き瀬に落ちて、患惚まむ時に助けてよ」とのりたまひて、オホカムヅミの命といふ名をたまひき。


 最後にその妹イザナミの命、身みづから追ひきましき。


 ここに千引の石をその黄泉比良坂に引き塞へて、その石を中に置きて、おのもおのも対き立たして、事戸を渡す時に、イザナミの命ののりたまはく、「愛しき我が汝兄の命、かくしたまはば、汝の國の人草、一日に千頭絞り殺さむ」とのりたまひき。


 ここにイザナギの命、のりたまはく、「愛しき我が汝妹の命、汝然したまはば、吾は一日に千五百の産屋をたてむ」とのりたまひき。


 ここをもちて一日にかならず千人死に、一日にかならず千五百人なも生まるる。


 かれそのイザナミの命になづけて黄泉津大神といふ。またその追ひ及きしをもちて、道敷の大神ともいへり。またその黄泉の坂に塞れる石は、道反の大神ともいひ、塞へます黄泉戸の大神ともいふ。


 かれそのいはゆる黄泉比良坂は、今、出雲の國の伊賦夜坂といふ。
【訳】: イザナギはイザナミの方法では建直しは無理と、自分だけでも汚土からの脱出をはかろうとする。


 正体を見破られたイザナミ勢力は、すべてを道連れにすべく、最終戦争を起こした。


 どちらの理念も構成分子たる人類が担う。イザナギ勢力は、黄泉軍の殺戮の手から逃れるべく、核シェルター(軍事施設の象徴)やビル(都市の象徴)をおとりにして、時間かせぎをした。


 それでも幾多の兵器を持って強力な殺戮軍が繰り出してくる。


 そうした殺戮の最中に、時代の境界点(ヒラサカ)である終結の時点を迎えるのだが、その境界の時点(サカモト)に居た桃形の飛行体(UFO、仏教にいう聖衆来迎)が、空に満ちる(モモノミミツ)ほどに飛来して、殺戮軍を撃退したのだ。


 こうして、次の時代を担う人間が、辛うじて橋渡されたのである。


 ここで、地球の将来に渡って、桃の実に一つの委託がなされた。


「理念の顕しに貢献する人類が、今後このような苦境を迎えて難儀するようなときに助けてやってくれ」と。


 この桃の実には「大神の現し身(天の車)」という名が付けられた。


 時代の最後まで、物質文明は地上を蹂躙したが、ある一点を境にそれは完全に消滅し、分子を減らした精神文明が後を継いで、人間は増加の一途を辿ることになったのだ。


 さて、我々の科学観では、存在の状態(相)が隔たる二つの世界の間には、感覚では掴めぬ境界石が置かれ、交通を拒み、互いの秩序を保たせていると考えている。


 たとえば現世と黄泉を往来することは禁忌のことであり、神が許された方法を以てしてもなお難しいものである(イシュタル神話)。


 時間軸上のその開始点に、隔壁の巨大な大岩が仮想されて、「歴史を元に戻す大神(道返し)」とか、「黄泉世界の扉を閉ざす大神」と呼ばれ、過去のイザナミ文明のことは、「世の面を尽きさせた(ヨモツ)大神」とか、「歴史を最後まで蹂躙した(道敷き)大神」と呼ばれた。


 また、時代の接点を、今に「出生(新生)の前夜坂」という。


  最終局面を飾る代表的な事物
  エビカヅラ    壊・火・鬘      
    火避けドーム、核シェルター
  タカムナ     高・棟(タケノコ状)     高層ビル
  ヨモツヒラサカ  世の面尽きる時間上の究極地点 時間的な終焉を象徴する地
  オホカムヅミ   大神の実(桃状のもの)    聖衆、UFO
  道敷き、道返し  道=歴史、時間 敷き=仕切る 歴史を仕切り、元に戻す
  塞へます黄泉戸  黄泉の戸を閉ざす       過去の歴史を閉ざす

どうだろう。世相を黄泉(死に体)の状態にしたものの正体。お分かりになったろうか。
また、黄泉の国からの脱出に成功する方法があることも、理解されただろうか。

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