この世を陰で動かしているのが、映画マトリックスにいうよう、一種のプログラムであり、マトリックスプログラムは高次元ホログラムに書かれていると、ずっと以前からモデル化していたのが、拙時空論である。
宇宙の始まりから終わりまでの歴史が網羅されており、しかもその中は階層構造的に微細を記述したプログラムがサブルーチンとして無数に存在している。それは宇宙生成の前に予め創られ、その数はそれ以前以後において計り知れない、と。
発想のヒントになったのが、古事記や創世記といった神話であった。たとえば、両神話には世界創生の当初に、あたかもホログラムを思わせる記述がある。また、世界の神話は、けっこう共通して、世界は神の言語表現により発生したとしている。それらを置きなおせば、予め記述されたプログラムがあって、それが自然に展開していることとなる。
預言者がよくする予言。これとても、先の未来を透視したというより、プログラムを先読みしたと言い換えられる。
ノストラダムスのようにプログラムの微細を穿って理解し意味深長な詩に書いた者もいるが、大雑把にはシャーマンの資質を備えた者は、ある種のおぼろげなビジョンとして把握できるものと思われる。(資質にも程度があり、能力はかばかしくない私などは胸騒ぎのような形でしか把握できないかも知れないが)
そうしたビジョンは大昔から神話として伝えられていたのだ。
言語に書き記されるようになってから、現代にその内容が知られるようになったが、原型は言語化される以前のさらに古いときから存在したのであろう。
古事記にいわく
国若く浮かべる脂のごとくして水母なす漂へるときに
ホログラムの管理のされ方と捉えても良い
創世記にいわく
はじめに神天地を創りたまへり
地は形なく空しくして闇淵の面にあり神の霊水の面を覆ひたりき
カバラにいわく
創造主による言語表現により、宇宙は形成された
神が言われた聖なる言語の物質化によって、すべての創造行為は成し遂げられた
現在のホログラムは、参照光とデーター光によって記録が行われ、データーの取り出しは参照光により行う仕組みだが、この高次元的な仕組みとして、宇宙の歴史生成がなされているというわけである。
むろんそのような仕組みは推測されるのみで、我々の観測受容器にはかからないから、直接証明する手立てはない。
そしてそれが作動したときの有様について
古事記は
葦黴のごとく燃え上がるものによりてなりませる・・ウマシアシカビヒコヂ(生成の)
その後、天の常立(宇宙空間)などの諸相が登場したとする
創世記は
神光あれと言ひたまひければ光ありき
カバラは
覆い隠された最高の神秘的な力は限界のない裂目のなかにあった。それはあたかも空虚な裂目が存在しているようであり、天上の神秘的な点から前方を輝かしていた雷撃の力によって照らしだされるまで総ては不可知のままに止まっていた。その天上なる点を超えればそこはもはや不可知の領域である。そこでその一点は原始点と呼ばれ、この一点より総ては始まり創造された。(光輝の書)
原始点とはレーザー参照光のまさに照射点のことである。創造は高次元超高性能コンピューターのプログラム参照と演算において行われているのだ。その中で、マルチタスクマルチプログラミング処理が執り行われている。
カバラにいたっては、装置の作動の現場に立ち会ったかのような言い回しになっているのがまたすごい。その辺は、シャーマンの能力というべきかも知れない。
「神話は神々にまつわる話」として誰しも理解しているが、その中に宇宙生成にまつわるビジョンを収めていたりするくらいだから、その中に人類の未来のシナリオが織り込まれていたとしてもおかしくはない。神話がなぜ語り継がれたか。それは信仰のためのみとするのはあまりに短絡的である。シャーマンによって後世に残し置くことがたいせつと考えられたからに他ならない。その意義は、もっぱら預言にあったと考えられる。
たとえば、ノストラダムスや聖書の預言者たちのように、ストレートには伝えてはならないものを(プログラム照見許可者(神や天使)の意向もしくは命令を受けて)婉曲的に表現する必要性に迫られて、神々の名前に置き換える手法を用いたと考えるのである。あるいはビジョンがそのようであったから、そのとおりに伝えたのかも知れない。祖形プログラムを瞥見したときのビジョンは、彼の観測受容器の認識能力に耐えられるような形に(つまり予備知識や信条に応じて)アレンジされるからだ。(UFOなど不可知なものを見たときの観測者のアレンジの仕方は過去に述べた)
そして実際、古事記の神話部分の多くは、預言で占められているのである。
しかし、祖形プログラムは、昨日明日といった微細を穿ったものではなく、歴史のパターンとして窺い知れる形で存在しているようである。ちょうど情報ピラミッドの頂点にある祖形プログラムが、無数の階層構造のプログラムを率いている如くとなっている。微細は、以下のルーチンに任せればいい。と同時に、この祖形は干渉縞のパターンを以下のプログラムに投げかけて、あらゆる事象にその影響を及ぼしている。つまり、上位の設計思想に下位も従うというわけだ。
古事記の神話を解釈した概略表
この表を見てもらえば分かるように、簡潔に言えば、この宇宙では適用される思想が、「生・成・衰・滅」のパターンをしているということである。万物を見れば当たり前のことであるが、また古来より求道者の落ち着き先はこの諦観でもあるが、これはこの宇宙に適用された法則だったというわけだ。
だからこのパターンは、ありとあらゆる局面に適用される。不老不死はありえないし、ドリアン・グレイもいないのである。
だが、果たしてそうなのか?
古代のエデンの楽園を伝えているのは何なのか。
実は、現時点、我々が観測しているこの時代において祖形プログラムがこのようになっていることを確認しているだけなのである。
プログラムはいろんなところで分岐をしていて、それは累々と積み重ねられてきたことである。つまり、パラレルワールドへの分岐点をすでに我々はいくつも経験済みなのだ。今この時点において、あらゆる情報がこのワールドの特質をはじき出し、今の時点がどこにあるかの道標となっているのである。
選択可能だった別のパラレルワールドにあれば祖形も異なり、「生・成・繁・栄」を感得していたかも知れない。だが、それは極論。この世に生まれて後はこのパターンに宿命づけられたと考えてもいいだろう。
パラレルワールドは生まれてこの方、無限に分岐している。そこでシャーマンは、上位の祖形近傍なら、パターンとしておぼろげにはなっているものの、かなり正確に兆候として見出すことができる。ただし、正確な時間は分からない、といったこととなる。
シャーマンが微細を調べようとすると、往々にして間違う。というのも、パラレルワールドへの分岐が推し量れていないからである。これは物理学の不確定性とも関係する。Aという方向に分岐していく可能性は、確率的にしか捉えられないからだ。しかもそれは無限通りときている。
だから、いくらマクロ現象といえども、近日中に起きることは比較的わかっても、少し先の未来はもう不明瞭となったりする。だから、優秀なシャーマンはある程度の段階で読み解く作業を妥協させねばならない。まじめで優秀なシャーマンは、正確な時間を言い切ることはないし(言い切れない)、あえてぼかした表現をする(それしかしようがないから)。もっと優秀なシャーマンは、何も言わないか、最も信頼性ある祖形プログラムのパターンについて語るかであろう。少なくとも、現時点でこの祖形が適用されていることを示すことは、老世代が子々孫々に喩えを示して語り継ぐ教訓のひとつでもあったことである。古代人はそれを繰り返し子孫のためにやっていたのだ。
たとえば、古事記の神話(上つ巻)の「国譲り」の段には、次のような光景が叙述されている。それをビジョン化すれば図のようになる。
これは核兵器のキノコ雲の様ではないのか。
タケミカヅチノヲの示す「強力な雷」のイメージとも重なる。
古事記はフルコトノフミであり、「古い事の記録」という意味に捉えれば、より古い歴史上に、つまり超古代核戦争があったとして、超古代研究家の興味を引くものとなろう。
しかし、これを「振る事の記録」と捉えれば、未来における歴史パターンに必ず登場してくるであろう象徴的事象と捉えられていたことになろう。「フル」とは、古の意と共に振る(繰り返す)ことが掛けられていることがあるのだ。それはそうだろう。万象万物にかかるのがこのパターンであり、波動的干渉縞をあらゆるプログラムにパターンを焼き付けるからだ。とすれば、過去にも未来にも、マクロにもミクロにも、こうしたことはありえるはずである。
ラーマヤーナに語られるような超古代核戦争はあったのだろう。その記憶を古事記は留めているのである。
また、60年前には第二次大戦の終わりに原爆が使われた。日本神話だから最も日本について描かれていて当然とすれば、このときの光景としてもいいだろう。そうなれば、国譲りした敗者側のオオクニヌシとは日本のことになる。天つ神はこの際アメリカをはじめとする連合国側だ。アメリカなどは、マサカアカツカチハヤヒの名に恥じない常勝国である。
おやまて。国を譲ったら、植民地になっていてもおかしくないが、そうではないではないか。
実はそれにも神話には落ちがつけられていて、配下の国つ百八十神を帰順納得させるために、天つ神と同等に扱うよう取り決めがされることまで語られているのだ。追随外交の軟弱姿勢をなじってはいけないのかも知れない。
また、挿絵の光景を今後の未来の預言と捉えるなら、第三次大戦か対宇宙戦争ぐらいが考えられようか。つまり、聖書に言うハルマゲドン戦争のようなことを経て、天神(神か宇宙人か)が(間接的に)支配するような幕となるのかもしれない。そのときの天神の口実は、地上(豊芦原の瑞穂の国)はひどく騒がしくまともに治め切れていない(いたくさやぎてありなり)という理由であり、実際今現在の世界の有様をみれば、誰しもこの口実には納得することだろう。地上を蹂躙支配した迷妄の霧はしだいに晴れ渡り、宇宙文明が徐々に導入されてくることになろう。そうすれば、「天孫降臨」に言うよう、科学の進歩もおびただしいものになるに違いない。
その後、誰しも幸せであり続けてくれるなら何も言うことないのだが。