ピロリ菌を飲んで胃潰瘍の原因を特定した博士

オーストラリアの
バリー・マーシャル氏(54)
ロビン・ウォレン氏(68)
この二人のノーベル賞受賞博士のおかげで、私の命は永らえている。
みのさんのお昼の番組で、ピロリ菌の話を聞いたのが最初だった。
どんなに心を落ち着けても、どんなに食事に注意しても、何度制酸剤を飲んでも、胃十二指潰瘍は治らなかった。通算8年に及ぶ格闘。
ピロリのことを聞きかじりに話した医師が、好運なことに良医だった。
胃カメラ検査でその存在を確かめてくれてすぐに、当時(今でもそうだろうが)、複数種の抗生物質の集中連用でしか死なないというピロリ菌の駆除に応じてくれたのである。それも、保険適用の対象でないというのに、対象になるように病例を集めてくれさえしたのである。
一週間服用の後に、便は真っ白になった。臭いもない。細菌という細菌が皆無になったのだ。それは頑強なピロリ菌の絶滅も意味していた。
それからすぐ、あれほど胸の重苦しさをもたらしていた潰瘍は跡形もなく消え去った。
毎朝の歯磨きにおける嗚咽もなくなった。
それからの平和の日々の満喫の幸せは、かつての地獄の日々に比べるべくもなかった。
この良医、みのさん、そして今回のノーベル賞受賞博士。私はこの一連の救い主のおかげで今日があると言っていい。まさに大恩人なのだ。
二人のノーベル賞受賞博士に心から拍手を送りたい。
そして、みのさんがんばれ。番組がんばれ。
そして、あの良医の先生。
直後に転院されてお礼を言うこともできなかったが、心から感謝を捧げたい。

日本の顔?的鳥の黄昏

日本を代表する鳥といえば、コウノトリや丹頂鶴ではない。
すずめとカラスだ。
平和な幸せ者と、自由勝手気ままな嫌われ者。
それらが村里や町中からしばらく姿を消した。
18日にやっとそのことに気づき20日まで、どこを探しても一羽も見つからなかった。
下界では黄金の稲穂が台風禍をかいくぐって豊作であったのに、
それを早々に愛でて群がるかしましい連中はどこにもいなかった。
案山子も銀紙テープもカラスを模したビニール袋も、無駄な努力のように、
兵庫県南西部の空は生命感がぷっつりと途絶えていた。
そういえば8月の暑いある日に、こんなことがあった。
車のフロントガラスのところで、パタッと音がした。
見れば、すずめが一羽、ワイパーの上にとまっている。
長い間動こうとせず、何かを警戒しているようだ。
見れば向こうのポプラの葉陰がごそごそ動いている。
と、そのとき別のすずめが、叩き落とされるようにして地面に落ちてきた。
そして、さも理不尽そうにポプラの方を見上げている。
葉の中では、ふた周りほど大きいムクドリのような鳥がごそごそしており、
お宿を奪われた二羽のすずめは、傷ついているらしく、
ふらふらとどこかへ飛んでいった。
車にしがみついていたすずめは、きっとギャングたちといえども、
人間にはかなうまいと、とっさの知恵を働かせたに違いない。
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その後のことだった。すずめが外来種の鳥の攻撃を受けて数を減らしているという話を聞いたのは。
が、カラスもいなくなっていたのは、なぜ?
時には猛禽の鳶でさえ、一羽で追い散らすというのに、
あんな小型鳥程度にやられるものだろうか。
そこで、はっと気がつく。
すずめやカラスの激減という天の異象が予兆するものに・・。
これは近未来の日本なのかも知れない。
おりしも株式の世界に外資がどんどん流れ込んで、株価を吊り上げていた。
日本の機関投資家は逆に引いている。
何かおかしい。
おーい。すずめはどこへ行った。お宿があるなら教えておくれ。
20日の夕刻近くなったときだ。
車を走らせている目の前を、二羽のすずめがよぎっていった。
その飛んでいく方向を見やれば、一軒の農家の屋根のてっぺんに、
50羽ほどのすずめが一列になってとまってこっちを見ているではないか。
チュンチュクいうかしましいあの声も。
見れば、驚いたことに、農家の向こうの電柱と電線に、
三羽のカラスが並んでとまってこっちを見ていた。
まるですずめの保護者みたいに。
おーおー、お前たち無事だったか。
私たちは元気です。
そんなふうに聞こえた気がした。

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台風撃退実験

ホラ吹きのホラ吹き的記録
台風と語り合った効果が出た。
何せ去年、親戚の家は床上浸水、我が家のひさしも半分以上吹っ飛んだ。
その親戚が、やってこようという前日なのだ。
ホテルはとっている。料理屋は予約している。
とんだ妨害ではないか。
坂本氏が伝授してくれた道満の技で、14号の神を呼び出して話し合いをした。
「日本列島に近づくな」
「なにおー。人間のしてきた横暴に対する報いを受けさせるのだ。妖怪地祇ならば黙っておれ」
「人間は悪くはない。人間をむかしこんな馬鹿に作った奴がいる。それが良くないのであって、人間はただその計画通りに動かされているだけだ」
「そいつに対して間接的にしろ報いを与えるのだ」
「それこそ馬鹿なことだ。そいつは高見の見物をしているだけで、どっちがどうなろうが、鼻くそほじって笑ってやがるよ」
「うう。だが、いちど抜いた鋒は収まらぬ」
「ならば撃退するしかない」
私は術をかけた。すると彼はにわかにたじろいだ。
「いいか。山陰からこのあたりにかけては絶対に手を出すな」
私は進路を太平洋はるか沖に指示したが、時すでに遅かった。
ニュースを見れば一目瞭然。
抜いた鋒を収めきれずに、躊躇逡巡しながらもたついている。
海水温のせいで、勢力をそぐにそげないでいるようだ。
「日本海のど真ん中を通って、なるべく迷惑をかけずに速やかに去れ」
14号は悔しげに泣く泣く去っていった。
あちらではハリケーンが猛威を奮った。
被災したのは結果、事の本質から最も離れた貧困層であった。
よく考えもせず暴虐を奮うのが地祇の良くない癖である。

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