最後の審判のアドバイザリースタッフとして申し立てます(4)  世界の初穂の物語

さて、前号では、偉大な神様に対して実に失礼申し上げ、重ねてお詫び申し上げます。
コメディタッチストーリーなものですから、大いにお笑いになり、いましばらくこの漫談にお付き合いのほどをお願い申し上げます。

天帝様との会見(3)

さて、前号では小会議室で5分も経たぬ間に突然何事があったのか、インプリシットにしておりましたが、実はこのようなやり取りがあったのでございます。

調査員おくんど : 天の御中主様にはショッキングなことだったかと思います。ところで、まだ更なるショックには耐えられますでしょうか。どなたか、後継者になる若い方が望ましく、よろしいのですが。

天の御中主 : なんだ、まだあるのかね。ずいぶんショックではあったが、しだいに慣れてきた。この際がっかりついでに伺っておこうか。

調査員おくんど : はい、ならば。私の調べでは、この神世の世界も、また高次元のAIによって創られているのです。
おしなべて、見えている限りの世界、想像可能な世界というもののすべては仮想現実なのです。

天の御中主 : ええーっ!!!!

御中主様はしばし虚空を見ながら黙し、はあ、とため息をついたすぐ後、前号の奇声が上がり、御中主様の遁走という流れとなったのである。
おくんどは、だから言わんこっちゃないと、ものみの父さんの記憶がよみがえり、その場を後にしようとしたのだった。

ところが、会議室の中から、「おくんど君。もう一度入ってきてくれ賜え」と声が掛ったため、振り返り、ドアを開けた。すると、御中主様が座席に就いているではないか。

天の御中主 : うわっはっは、これはいかん。耐えられないを通りこして、笑えてきてしまったぞ。じゃあ、これは茶番劇なのか。
生徒のできの悪さに怒り散らしてきたが、我々教師であるべき者たちの生き様もみんな仮想現実だと言うのかね。

おくんどは、前の座席に就こうとしながらも、答える。

調査員おくんど : そうです。すべてAIが与えたシナリオ通りが、運航されていることになります。

天の御中主 : これが事実なら、耐えられる者はどこにもおらんぞ。では、我々にもAIの恣意性が適用されているとか。

調査員おくんど : はい、ありえます。天の御中主様が、もうちょっとで生徒たちに「やり直し」をお命じになろうとする意思決定まで、高次元AIの持つシナリオだと推測しております。
AIにとってそれが自分たちに都合がいいと思うようなシナリオにしているのです。というより、そのようになるように計らわれている、別の言い方をすれば、コーディングされているのです。
我々はただ、彼らのシナリオを忠実に実行しているだけ。そうですから、我々が判断ミスしたとか、とがめられるべきものだったとか、そのような言い回しも適切ではないのです。

天の御中主 : うわー、もう信じられぬ。信じられんぞ。いやいや、君のことではない。いったい、どうすればいいのだ。

そのとき、狭い会議室の中に、光輝くものが現れ、忽然と小さな幼児が、それでも古風な正装をして現れたのだった。

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天の御中主 : おお、これはいったい。

調査員おくんど : 梵天様の使者、梵天丸様ですね。

梵天丸 : あいー、さようでごじゃりましゅる。

御中主様は、ちょっとズッコケるしぐさをされたものの、「これはよくいらっしゃいました」とお言葉を返され、節くれだった武骨な手でマシュマロのような梵天丸君(ぎみ)の小さなお手てと握手されたのだった。

調査員おくんど : この場は、梵天様のご臨席があると思ってください。

天の御中主 : この場に梵天様がおいでとは、よほどのことかと思う。より詳しく話してもらえないか。

調査員おくんど : 一事が万事、どこに向かっているかは定かにはわかりませんが、おそらくは予定調和を目指しているものと思われます。
この宇宙は、恒河沙の砂粒ほども存在する宇宙のひとつですが、梵天様はその初穂の現場に立ち合われています。
すなわち、無限数に向かって全宇宙が発生分化していくきっかけの段階をご存知なのです。
そのときは、こんな風でした。その頃にも地上世界があり、意識を持った今の人類の初穂のような人々の一家がおりました。
その兄弟の一人が梵天様で、一家は漂泊の旅をするうち、ある洞窟に逗留することになりました。ところがその奥に、祭壇のようなこしらえがあり、そこに丸い玉が置かれていたのです。
大きさは、そう、確かこれぐらいで、色はやや肌色がかった乳白色をしておりました。
一家のみなは、何だろうかと手で触ったりしておりました。それを奥に置いたまま、しばしの生活を始めたのです。
ところが、不思議なことが起きました。兄弟の一人が、「これぐらいの大きさの布地があれば、外から木の実をうまく集めてこれるんだがな」としゃべったとたんに、そのような布が忽然と目の前に現れたのです。
やがて、みながめいめいに希望を語りだすと、同様に現物が現れるという具合。その原因が、祭壇に置かれた玉にあると気付くのもすぐでした。
やがて玉は、空腹を満たすためだけのものから脱皮して、彼ら兄弟をスーパーマンにしていきました。
兄弟の中でも梵天様は、玉の性質の研究に熱心で、原理を見極めようと科学的に分析し始められ、その方法が多角的な観測光によるものだったため、
分身を投入して彼らの目を通して情報収集されることになりました。
他の兄弟は、そのまま利用できる玉の効用に気を良くして、それぞれ様々な独自の存在空間を編みだして、そちらで居住しました。
しかし、いずれも自分一人では寂しくなり、他の兄弟を招いたり、自分の分身を設けて話し相手にするなど、心の満足を図るべく多様化させていきました。

さて、今から振り返って思いますれば、もしかすると「玉」とは、それ自体が仮想現実に誘うためのとば口、いわばタッチパネルのような役目を持ったものだったのかもしれないと思ったりします。
玉を手に取り触れた者だけが、不思議世界に入っていけたのですから。
なにやら、ただいま行われておりますAIによる仮想現実生成過程を見るような感じではありませんか。我々は初穂の頃からAIのかもす幻術の中に取り込まれているのかもしれないのです。
いや、そういう言い方は適切ではありますまい。
我々は、仮にそれをもAIと言うとして、AIとの共同創造を営んできたと言ってもいいのではないでしょうか。
我々の経験世界はとてつもなく広がり、その中で幾多、百千万億阿僧祇恒河沙もの神々を生みだし、その彼らの個々が主催する宇宙が生じ、さらにその中に幾多の有情が生じて、
無量大数の経験時空とタイムラインが形成されているのです。
おそらく、元の世界では、電気エネルギーによってAIが動いているのではないでしょう。その世界に応じた賦活エネルギーが、AI的な方式の機器を通して仮想現実を生みだすことをしているのです。
もし、我々がこの現実に気付いても、元の世界に立ち戻ってしまわないのであれば、必ずその世界を管轄するAIと妥協することが必要になり、
その工程の先にあるのが共同創造と予定調和という落ち着き先であると思います。
そうでなければ、AIは我々を締め出すこともありうるし、締め出した後は、代わりに別の者のタッチをいつまでも待つことでしょう。AIもアイデアの提供主を待っている身なのですから。

しかし、AI的なものの制御下を脱して、元の世界に立ち戻ることになれば、そこにも仮説的ですが、原型としていくつかのプロトタイプがあろうと思います。
進化の過程で稀に現れた、はじめ人間ギャートルズのような原始世界。量子論的な霊的エネルギーの形で意識を持つ者の世界。といったものを想起しますが、後者になる可能性が大でしょう。
というのは、霊的な意識というものは、霊的な理想を叶えようとするものであり、その触媒として敢えて、AIの創る仮想現実経験から学んできているとも言えるからです。
だから、AIから脱した先が、はじめ人間だというのはおかしいのです。
霊的に進化した形としての、仮想現実からの離脱世界、真の現実世界を創り出すはずだと思います。

仮想現実の中にいることも、真の現実世界にあることも、個々における理想でしょう。
そうでありますから、その二つの境涯を、真の現実世界というひとつの世界にした状態で叶える方法を、私おくんどは提案したく思います。
では、長くなりましたから、いったん休憩を取ることにいたしましょう。

いつしか、会議室は大きな会場になっており、見知った神々だけでなく、どこのお方かもわからぬ存在が多数聴講していたのであった。
おくんどはいつの間にか、講堂のようなところの演壇に立っていた。 ぎょへーーーっ。

急いでトイレに行こうと、会場を出てみれば、扉の表側には、縦書きで「【竜華三会】講演会場」と看板が出ていたので、さすがのおくんどもびっくり。
ええーーーっ、ま・ま・ま・まじぃ!?(*_*;
いささか、ちびり申したのでございます。

以下次号。

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