ブー、社会生活に入る

ブーがついに家出してしまいました。
かつてフーが家出したときとは、少し違います。

フーはある朝、食事を十分にした後で、いつものダイビング板のところから地上に下りると、二度と帰ってきませんでした。
フーの場合は、二三日前から、不思議な行動をし、また一日前の未明の夢に、フーらしい白猫が出てきて、顔面の左側が崩れていたのです。
その姿で、私の前に姿を現したものの、すぐに右目のほうに何かから攻撃を受けた様子でした。だから、おそらく死んでしまったと思われます。

フーの不思議な行動と言うのは、私のベッドに朝方にやってきて、大きな身体で添い寝するのです。親に甘える子供のようでした。
いなくなる日の朝にも、私が起きようとして見てみれば、フーは天使の寝顔で私の布団の上でぐっすり眠っておりました。

フーよ、お前のそのときの顔は絶対に忘れませんよ。

ブーも最近、私の傍に添い寝することが頻繁だったのです。みんな猫というのはこうなるのでしょうか。
あるいは、せめてもの恩義に報いようと、精一杯甘えてくれたのでしょうか。
私は、フーのことがありましたから、念入りにグルーミングしてやったのです。
フーにももっとしておいてやればよかったと。もっと食べさせてやればよかったのにと。

ブーの場合は、行き先がわかっているのです。生きていることがわかっているから、不吉な夢も見ません。
それは100m離れたAさんとこに入り込んだのです。

Aさんちは、猫20匹を現状、飼っているのです。それも、ほうぼうで猫を捨てていくので、それらが次第に集まりいついたとのこと。自由にさせていて、餌をいっせいにやるので、それを競争して食べるとのこと。
ブーも集団(社会)生活のほうに魅力を感じたのでしょう。

というのも、ブーは立派なオスの成猫になったものの、自分の欲求をかなえる方法がなかったのです。
我が家にはメス二匹がいるものの、どちらも避妊手術済みなのです。男女の仲は、ちゃんと求め合うものがあってはじめてなりたちます。どんなにさかっても、メス猫のほうに関心がなく、ブーはそのすれ違いの積み重ねに業を煮やしたようです。

その点、Aさん宅では、みんな健常。オス同士で喧嘩をしても、何とか結ばれたいと思ったのかもしれません。
そんなこと以上に、社会生活に入ろうとするのが猫なのでしょう。

先日、Aさんとこの前を車で通過したとき、ブーらしい黒猫の後ろをついていく白黒ぶちの猫がいるのを目撃しました。もうすでに、なじんでいるようです。

うちにいる猫たちは、親猫はウーですが、子猫三匹とともに、家の中か近くだけにいて、遠出などしません。
ウーも子猫のメス、シャンも避妊済み。これはきっと家猫で一生を終わらねばならないのでしょう。
いっぽう、子猫にもオス猫二匹がいますから、いずれ巣立つのかも知れません。
それはまた悲しい別れになるのでしょう。添い寝をねんごろにするようになれば、いよいよ巣立ちの時かと思わねばなりません。

猫たちは人間性豊かですばらしい生き物です。言葉さえ理解して交わせるようになれば、どんなに物事が円滑になるでしょう。それがすれ違うから、お互いを理解できずにいるのです。
(ブーは私と会話を交し合う猫だったのです。抑揚をつけてコロコロ話す猫でした)

 

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