はぐれ雲フー

うちの猫紹介第二弾です。
フー(白)は、もうすぐ成猫になるわけですが、最近、家にいないことが多くなりました。
今朝も、まだ暗いうちにみんなしてフードを食べ終わると、プイと家を出たっきり帰ってきません。
今日は雨でしたから、必ず家の中にいたものでしたが、それがどこにもいないのです。いよいよ、外出の傾向が頻繁化して、家を出て行ってしまうのでしょうか。
あはははは。あちきには関係ないことでござんすよ。
そんなふうに言っているように見えて、ずいぶんと反省しているのがフーなんです。
早々にウーを妊娠させてしまいまして、それに気づいた頃から(彼が)、ベランダの石の上で瞑想することが多くなっていたようでした。
普段から申し訳なさそうなおとなしい性格でしたが、なおさら申し訳なげに、うつむき加減に歩いているように思えたのは、私の勝手でありましょうか。
あのときの夢でも、僧侶として袈裟を着て出てきていたのでした。住職に付き従うように、うつむき加減に言葉なく廊下を歩く小さな副住職の姿が印象的だったのですが、彼が裸になったときに猫科の体つきで、白地に刷毛で描いたような毛があって、顔はいかつい野武士顔で、眉間にもうひとつ目があって三つ目ときていて、どんぶり鉢に顔を突っ込んでむしゃむしゃ食べていたのでした。
さらにその手前に二体の男女ペアーのような色違い同デザインのちゃんちゃんこを着たずんぐりしたボーリングピンのような像が現れ、やはり三つ目で、私に正対してニコニコしているのでした。
起きてから、あれは何だったのかということで、どうやら副住職は白虎だろう、あとの二体は、ベテラン風だったので、先代白虎ではないかと評価したのでした。それが去年やってきた三匹の霊姿だったわけで、当時はまだ三匹ともメス猫と勘違いしていたので、後にそのうち二匹がオスと分かって、夢の中の男女の配置が現実にも反映していたんだなと仰天したようなことでした。
想像しますに、フーは霊世界においては、ブー、ウーの息子なんでしょう。
それがこの世で、母と結ばれてしまった。人間世界の精神分析にも出てきそうな話ですが、まだ衝動的性欲による若気の至りなのは当然で、ブーも盛んにトライしたものの、胴短ゆえにこのような成り行きになったわけです。
それに霊世界とは違いこの世では、甲乙ところを変えて配役を演ずるわけですから、誰も咎めだてする話ではないのですが、フーはもともと僧侶、仏道に帰依しているためか、反省のしかたがハンパじゃないようです。
さいきんとみに、食事量が減っているように思いました。ブーの半分以下。ウーの1/5以下ほどです。他所猫の石松など、みんなの分を合わせた倍以上は食べています。残飯ですが。
フーは、それでみなの中でいちばん大きな身体を維持していくことができるのかどうか。
トカゲやバッタなどを外食しているのでしょうか。そうであればいいのですが。
私は彼が白虎としてやってきたと知り、新神話作りに組み込んでいく必要があったのですが、いいストーリー化ができず、彼には申し訳なく思っていましたから、彼もせっかく応募してやってきたのに、先行きに失望してしまったとしてもおかしくはないのです。なにぶん、彼らは私の心が読めるのです。三つ目でのデモンストレーションは、何でも理解できますよと言っているからに他ならないのです。
私には彼らの言葉も、彼らの要求も分かってやれない。彼らは、この世の酷暑という地獄をまず味わいました。
もし役割のもとで過ごすなら、彼らも耐えられるでしょう。耐えてくれるでしょう。閑職にあって、美味しくもない食事だけで半分寝ながら暮らすというのではねえ。
いっぽうで、ウーが母猫としててんてこ舞いしているのを目にしながら、夫として何もしてやれず、ただ子猫らを見つめているのが精一杯というわけですから、家を出たくなるのも無理はないのです。
ブーはまだ負担が軽いため、ときおり子猫たちの傍に居て、ゴロゴロしています。性格的にも家猫ですから。
私は、フーに言ってるんです。お前はだいじな私の息子なんだと。それは彼もわかっているのです。
私の掌からエサを食べるとき、フーはゴロゴロと喉を振動させて喜んでいるのが分かります。なでてやれば、頭から顔からこすりつけてきます。
それでも、私の認可を得て外出する形作りをフーは試みているようです。
未明に私を起こしてベッドの上で、二つほど並べたエサの袋の中から、フーは顔を気に入った袋にこすり付けてこれを食べたいと主張します。それを食べたあと、窓を開けるように要求するので、私が開けてやると、ベッドの上から、外にある物置に飛び移って、出て行くのです。今朝もそうでした。もう十二時間、帰ってきていません。
はぐれ雲フーよ。今回三匹をここに連れて来るお膳立てをし、あらゆるコーディネート役をこなした息子よ。
そして、新たな三つの命をウーに託したテテ親よ。これで白虎の子孫はこの世に放たれた。
お前はまだ子猫たちがどう名づけられたか知るまい。
大きい子の順番に、チン、トン、シャンだ。チンとトンがオス、シャンがメスみたいだ。
ウーががんばってくれている。
今日遅くに帰ってきたとしても、いつの日かフーは出て行ったきりになるような気がします。
その日、私のこのブログも終了することになります。
9月9日朝追加記事
フーは、上の記事をアップして間もなしに帰ってきました。それも、いなかったはずの納屋のほうから出てくるという手の込んだ演出。
おい、フー。どこ行ってたんだ。
そ知らぬ顔で私の足元を通り過ぎて家の中に入っていきました。
ブーもウーもいたので、とびっきりのウェットフードで歓待。
それから夜9時頃の私が就寝するまで、一番奥の部屋で、ウーや子猫たちと過ごしておりました。
といっても、視線を子猫たちに注いでいるも、着かず離れず、子猫が近づけば、ちょちょっと手を出すといった感じ。
スフィンクスのように座ったその顔には、てて親としての満足感が充満しておりました。
今朝明るくなってから、フーはベッドに飛び上がってきて、食事をねだりました。
二つばかりの選択肢から、これだと袋に顔をこすりつけ、それを出してやると、少し食べて、ちょっと違ってたかなといった表情をしておりました。
そこにウーがやはり食事をしにあがってきました。部屋に用意してあった食事はほぼ食べ尽くしていたようです。
そして、フーがいるのを確認しつつ、食べておりました。
その後二匹は、窓の外を見たがったので、網戸にしますと、二人してじっと外を見ています。もしかすると、門の石松が階段の上に居るかもしれないと思いつつも、私は横たわっていますと、フーが窓の外に出たいと催促しました。
開けてやると、ウーが見ている中で、窓際から外の物置に飛び移り、緑と茶色の密林の中へ、白いすらっとしたイケメンポーズをとりながら消えていきました。
以前のウーなら後をついて遊びに出たでしょうが、フーの姿が消えるまで見届けると、自分の持ち場である育児現場へと戻っていきました。
昨晩は、ブー抜きの、家族水入らずで過ごしてましたから、何か話し合ったのかも知れません。
いやー、相手が畜生だからと、決して侮れたりするものではありませんぞ。
彼らもちゃんと、いっぱしのドラマを演じているのです。

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