不思議は続き・・・

生き物の不思議は続いた。
我が家ですごした生き物は、蝿、青虫、ゴキブリ、蛾であったが、
いずれも母が見つけ次第、仇敵のように退治した種族であった。
それを私は、もしかして母の視座を担う生き物ではないかと、大事にしてきた。
もしかすると、昔話によくあるように、生前危害した生き物に、ほんの一時期でも転生するのかもしれない。そこで追い詰められ叩かれ死ぬことで、罪を償うようなこともあるのかと。禊に徹した母ならではではないか。
しかし、私は理想郷を、どんなおぞましい生き物とも共存する世界と思っているため、たいがい話しかけて害することを避ける。すると不思議と和の雰囲気があたりに充満する。(蚊はあかんでー。なんで痒くなるこんな因果な加害機能を備えてるのか。悪しき世ゆえか。必ず他の方法を考えてやるからな)
蝿は私と一定の距離を置いて、親しげに飛び、そしてテーブルにとまりはするものの、祭壇の供物や食物という食物にはいっさいとまらなかった。
供物など時間がきたら捨ててしまうわけだから、どんどん食べなさいと言っても、とまることはなかった。人懐っこいから、もしかして手乗り蝿にでもできるかもと野心を持ったが、最後まで控えめにふるまい、しかも母の根拠した一階だけにとどまり、二階にまでついてくることはなかった。
ある日中、蝿は祭壇前に座る私の前をよぎっていくと、どこに行ったか不明になった。すると突然、着物掛けの桟のところから、床にぼとっと落ちたのが、一匹のゴキブリだった。
ゴキブリは、ゆっくりつつましやかに祭壇にやってきて、私の目の前50cmまで近づいた。私は、どんなことだったか忘れたが、ゴキブリに話しかけた。すると、祭壇の下の行き止まりのところに頭を突っ伏したまま、動かなくなった。
控えめな、それでいて、私から危害されないと知っているゴキブリ。
昼間から出現して、しかもゆっくり歩いてくるゴキブリなど、未だかつて見たことがない。私が注視して話しかけると、その場に止まる。何度か出てきたわけだが、これも供物によじ上るではなく、祭壇の裏にゆっくり歩いて入ったりという、まさに家族なみのふるまいをしたのだ。
もしかすると、叩き殺してやれば、霊魂も昇華されるのかもしれないが、それがもしや母かと思うとできはしない。
いや、もし他の化身でも、できたりはしない。
もし地球上の生き物のことごとくが死に絶えても、ゴキブリだけは生き延びて繁栄するとか。私がもし最後まで生き残ったなら、ゴキブリとはうまくやっていけそうな気がする。彼らに知恵を授けて、彼らの王になってもいいななどと思ったりしてにやつく。完璧な変態だな。
それは暖かい日差しが階下に射込む午後のこと。私は、日ごろ母が良質な浄化水を節約して溜めていた大型ポリ容器が、せっかくの水栓を使えなくしていたので、それを捨てる作業をした。そのとき蝿は、まるで私の進路を妨害するように床に止まったりした。
私は、作業を終え部屋に戻った。蝿がどこにいるか不明だったが、他の部屋のほうにでも行ったかと思い、気を許して何気なく窓を開けたとたんだった。蝿はすぐ傍に潜んでいたらしく、その隙間から外に飛び去ってしまった。
母が怒って出て行ってしまったような気がして、喪失感を催した。
そんな今朝、いつも早々に起きてしまうのだが、午前四時のこと。
階下に下りてみれば、部屋の入り口に例のゴキブリがいて、じっとしている。まさかまだ母がへたり込んでいるのでは。触覚を動かすが、その場を動かない。またしばらく一方通行な話をして、デジカメを二階に取りに戻り、そして撮影したのが次のものだ。
Untii1.jpg

Untii2.jpg

もしや、部屋の中のオーブが写るかもしれないと思い、写してみればなんとやら。二つも写り込んでいるではないか。これはいったい??
Untii3.jpg

そういえば二枚目にも、小さなオーブらしきものが横にある。これはゴキブリの??