台風撃退実験

ホラ吹きのホラ吹き的記録
台風と語り合った効果が出た。
何せ去年、親戚の家は床上浸水、我が家のひさしも半分以上吹っ飛んだ。
その親戚が、やってこようという前日なのだ。
ホテルはとっている。料理屋は予約している。
とんだ妨害ではないか。
坂本氏が伝授してくれた道満の技で、14号の神を呼び出して話し合いをした。
「日本列島に近づくな」
「なにおー。人間のしてきた横暴に対する報いを受けさせるのだ。妖怪地祇ならば黙っておれ」
「人間は悪くはない。人間をむかしこんな馬鹿に作った奴がいる。それが良くないのであって、人間はただその計画通りに動かされているだけだ」
「そいつに対して間接的にしろ報いを与えるのだ」
「それこそ馬鹿なことだ。そいつは高見の見物をしているだけで、どっちがどうなろうが、鼻くそほじって笑ってやがるよ」
「うう。だが、いちど抜いた鋒は収まらぬ」
「ならば撃退するしかない」
私は術をかけた。すると彼はにわかにたじろいだ。
「いいか。山陰からこのあたりにかけては絶対に手を出すな」
私は進路を太平洋はるか沖に指示したが、時すでに遅かった。
ニュースを見れば一目瞭然。
抜いた鋒を収めきれずに、躊躇逡巡しながらもたついている。
海水温のせいで、勢力をそぐにそげないでいるようだ。
「日本海のど真ん中を通って、なるべく迷惑をかけずに速やかに去れ」
14号は悔しげに泣く泣く去っていった。
あちらではハリケーンが猛威を奮った。
被災したのは結果、事の本質から最も離れた貧困層であった。
よく考えもせず暴虐を奮うのが地祇の良くない癖である。


このサイト
どうもいまいち人気がないため、
ちょっと信じられないような実験記録を
書いてみた。

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